『バッドボーイズ フォー・ライフ』評論!娯楽映画として魅力は十分!

バッドボーイズ フォー・ライフ評論タイトル

映画『バッドボーイズ フォー・ライフ』の10点満点評価

★★★★★(5点)

常に観客の予想を、語り手側が一歩先行く爽快感があり、非常に楽しい映画ではありますが、1回観たらお腹いっぱいという「ザッツ・娯楽映画」です。

映画『バッドボーイズ フォー・ライフ』公式予告動画、およびストーリー概要

ブランド物のスーツを着こなしてポルシェを飛ばすマイク・ローリーと、かたや家族こそ守るべき大切な存在だとして、危険な職務には消極的なマーカス・バーネット。
2人の危険すぎるワイルドで無鉄砲な捜査が、またもマイアミを舞台に縦横無尽に展開する。
いよいよ引退を真剣に考えているマーカスに、マイクは「これが最後だ」とコンビとして最後の共同捜査を依頼。
再び、危険なミッションが幕を開ける。

映画『バッドボーイズ フォー・ライフ』ウィキペディアより引用

『バッドボーイズ フォー・ライフ』のポイント

良かった点

  • これぞ「娯楽映画」という頭空っぽにしながら引き込まれる作品になっている
  • 観客の予想を常に上回るスリリングなストーリーに仕立て上げられている
  • ガンアクションやカーチェースシーンへの突入の手際が良く、ミュージックビデオを観ているようなカッコよさが詰まっている

気になった点

  • 観た後にスッキリはするものの深みがなく、どうしても1回観るとお腹一杯になってしまう
  • ガンアクションシーンで、キャラクターの位置関係がごちゃつくシーンが多い。また、どうしても「ジョンウィック」と比べると見劣りしてしまう

映画『バッドボーイズ フォー・ライフ』の感想

今回評論させて頂く『バッドボーイズ フォー・ライフ』は、間違いなく「ザッツ・エンターテイメント」と言える「娯楽映画」だと思います。

頭空っぽにしながら見てたら、思いのほかスリリングでハラハラ・ドキドキ感が味わえるテンションが爆上がる映画だった!という感じです。

ただ、「アカデミー賞最有力候補作」が続々公開されている昨今のシーズン的に、他作品に比べると映画としての深みが浅く、何度も見返したくなるような魅力は少ないかな~というのが率直な感想です。

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自分でも褒めているような、貶しているような複雑な気分ですが、可もなく不可もなく・・・「いや、悪くはなかったですよ!うん!満足です」っといったテンションです。
若干のネタバレがOKな方はクリックして開いて下さい

1作目から歳月が経っていることを描く度胸の良さ

マイケル・ベイ映画監督デビュー作となる1作目の『バッド・ボーイズ』が1995年公開ですが、本作『バッドボーイズ フォー・ライフ』は日本では2020年に公開されているので、1作目から実に25年の歳月が経過しています。

本作『バッドボーイズ フォー・ライフ』では、ちゃんと1作目から25年の歳月が経過していることから逃げずに、上手にむしろ歳月の経過を利用しながら脚本が組み立てられている点が一番の大きな魅力です。

主人公「マイク」がヒゲをココア色に染めていることを茶化されるシーン、またもう1人の主人公である「マーカス」の孫が生まれるシーンから、2人とも現役の現場警官としてはすでに最盛期を過ぎていることが良く分かる描写が丁寧に描かれています。

 

また、R15+という年齢制限がつけられていることもあり、主人公「マイク」が昔ながらの・・・悪く言うと「拷問に近い捜査方法」を繰り広げて、「人権?コンプラ?そんなもんクソくらえ!」という反時代的な暴力シーンが、2020年の今だからこそ、日頃溜まったうっぷんを晴らす働きをしてくれ、爽快感があります(もちろん、「劇中」でも反時代的だと咎められますがw)

また、ネタバレになってしまうので、サラッと書きますが、この1作目から25年の歳月が経っているからこそ対峙できる「ヴィラン」が本作の白眉にあたる設定ではないかと思います。

新たに生み出されたデコボコバディ感の面白さ

すでにご存じの方の方が多いと思いますが、「バッドボーイズ」はご紹介した2人の「マイク」と「マーカス」という黒人警察のポリスバディームービーとなっています。

BADBOYS

『バッド・ボーイズ』Amazonブルーレイ販売ページより

過去作で互いに手を取り合いながら数々の大事件を解決してきた2人ですが、やはり25年の歳月を経ていることもあり、お互いの「仕事」に対する向き合い方が異なり始めており、新たな違和感のない「デコボコバディ感」を生み出していて、その「デコボコバディ感」が物語の進行とともに埋まっていくという、バディムービーに求められる魅力が詰まった一作であることに疑う余地がありません。

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「マイク」は死ぬまで現場警官として活躍したい思いが強いですが、「マーカス」は警官を引退して暴力を振るわない好々爺としてノンビリ暮らしたいという思いが強くなっており、現役引退を何度も口にします。この「デコボコバディ感」に違和感なく、スッと観客も納得できるバランスが良い塩梅だと思います。

ヒップホップDJのようなセンスが詰まった迫力とスピード感のあるシーンの数々

本作『バッドボーイズ フォー・ライフ』の大きな魅力の一つとして、さながらミュージックビデオを観ているような錯覚に陥るほど、映像とヒップホップ曲との組み合わせ、迫力があるシーンに突入する手際の良さがあげられます。

オープニングシーンから「ミーク・ミル」の「Uptown II」といった魅力的なヒップホップ曲が流れながらのカーチェースシーンや、ラジオのボリュームを上げた瞬間からガンアクションが始まるシーン等があり、映画館の大スクリーンと極上音源が組み合わさって映画としての魅力を格段にアップグレードしていると思います。

MeekMill

『ミーク・ミル』wikipediaより

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オープニングから、「あ!そうそう、この映画ではこういうシーンが見たかった~!」というアガるカーチェースシーンから始まるので、いきなりグワッと観客の心をわしづかみにしてきます。

また、映画全体のテンポが本当に良く、スピード感を保ったまま失速せず、エンドロールまで突入するあたりは「アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー」監督の手腕によるものと思います。

観客の心をグラグラと揺らしてくるテンポの良いカット割りもお見事と言わざる得ません。

ガンアクションの迫力不足、キャラクター位置関係のゴチャつき感

「娯楽映画」としての魅力を上げてきましたが、筆者が10点満点中5点という厳しい採点をしてしまったのは、やはり他映画作品と比べると見劣りするという点が一番大きいです。

特にガンアクションは、直近では「ジョン・ウィック:パラベラム」という銃のリロードも含めてガンアクションという、流れるように美しくもド迫力なガンアクションシーン満載の映画を観ているので、本作『バッドボーイズ フォー・ライフ』を比べてしまうと、見劣りしてしまうことが否定できません。(キアヌ・リーブスの血の滲むような実銃訓練による賜物が存分に堪能できる名映画でした。)

ジョン・ウィック:パラベラム

『ジョン・ウィック:パラベラム』公式ホームページより

また、ガンアクションシーンの際、「味方がどこにいて、敵がどこにいるのか観客側から分かりづらいシーン」が多く、「キャラクター間の配置のゴチャつき」が気になりました。

もちろんゴチャつきながらも迫力あるシーンは続くので面白いことは間違いないのですが、「お祭りっぽくて良いっしょ!」というやや繊細さにかける欺瞞性を感じてしまいました。

つまり、「娯楽映画」としては優等生で欠点はそんなにないものの、本作『バッドボーイズ フォー・ライフ』ならではの切れ味や持ち味が、筆者は感じられませんでした。

 

あとは、「娯楽映画」なので当然かもしれませんが、観た後にスッキリはするものの、持ち帰る「宿題」がほとんど無いというのが、筆者の嗜好に合わないので、厳しめの採点となったというのも大きいです。

「フォードVSフェラーリ」や「アイリッシュマン」「パラサイト 半地下の家族」を始めとするアカデミー賞にノミネートされている作品は、見終わった後に深い余韻が残り、近代史を学んだり、社史を眺めてみたり、複数の陰謀論をネット文献や書籍で探してみたりと、沢山の宿題が貰える「深み」があると思いますが、本作『バッドボーイズ フォー・ライフ』を観て何か学んだものがあったかというと、疑問です。

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「アメリカとメキシコ麻薬カルテルとの抗争」や「キング牧師」「マルコムX」といった、トランプ政権真っただ中の最中にタブー視されがちな対象を使った攻めた風刺シーンもあり、思わず「クスッ」としてしまうのはあるのですが、ちょっと浅いかな~というのが率直な感想です。

本作『バッドボーイズ フォー・ライフ』は、「ザッツ・エンターテイメント」と呼べるような「娯楽映画」ならではの良さが十分詰まっています。

毎回「宿題」をたっぷり渡されるような「社会深度が濃い」映画だけではなく、たまには「頭空っぽ」にして、ドッカンバッコンするような映画見たいじゃん?という需要があるのは理解できるので、そういった物を求めている気分の時には最高の一本だと思います。

10点満点中5点と厳しめの採点をしてしまいましたが、1作目からの25年の歳月が経っていることをちゃんと逃げずに描いた丁寧な脚本、ヒップホップDJ的なセンスが詰まった迫力があるシーンも多く、「娯楽映画」の中では頭1つ抜けていることは間違いありません。

映画アイコン
ガンアクションシーンや、カーチェースシーンもたっぷりあるので、この映画こそ「大スクリーン&極上音源」で観るべき作品だと思います。「ザッツ・娯楽映画」が観たい気分の時には是非映画館で『バッドボーイズ フォー・ライフ』をご鑑賞下さい