アニメ『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』を映画好き視点で評論!

ゴブリンスレイヤー劇場版

『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』の10点満点評価

★★★(3点)

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上映時間が60分と短く、劇場版というより完全に「OVA」よりな作品なので、映画ファン視点だと厳しい採点をせざる得ません。

『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』公式予告動画、およびストーリー概要

最下級モンスターとされるゴブリンのみを狩る冒険者・ゴブリンスレイヤーの活躍を描く作品である。

この作品に登場するゴブリンは一般的なファンタジー世界を舞台とする小説やゲームに登場するものとほぼ同じであるが、世界観に立脚してリアルに描かれる。1匹なら力自慢の村人でも倒せるほど弱いが、群れをなして残忍狡猾なやり口で人間の集落や冒険者たちを陥れる存在であり、油断すれば村を滅ぼすことすらある脅威となる。

特に群れの数の多さから冒険者ギルドへの依頼が多いことに比べ、依頼者が貧しい村であることから報酬は少なく、一般に弱いと認識されるゴブリンを殲滅しても名声は得られないため、熟練の冒険者は依頼を受けず、代わりに新米の冒険者が依頼を受けることが多いという社会問題がある。

しかし、熟練の冒険者でも場合によっては死に至る可能性がある依頼にも関わらず、新米の冒険者は知識不足、経験不足から舐めてかかることが多く、結果としてゴブリンたちの餌食となってしまう事例も多い。

そのような社会において、決して油断せず、様々な技巧や知識を駆使し、ただ淡々とゴブリンのみを狩る存在として、ゴブリンスレイヤーが描かれる。

『ゴブリンスレイヤー』ウィキペディアより引用

『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』のポイント

良かった点

  • アニメ版から見ていると、キャラクター間の連携攻撃等熱くなるシーンが多い
  • 60分と上映時間が短いので、美味しいシーンがギュッと濃縮されたカット割りの映像作品になっている(サクッと見れる)
  • ご褒美入浴シーンが用意されている

気になった点

  • 良かった点の裏返しとして、上映時間が60分と短いので、映画というより、完全にOVA作品に仕上がっている
  • 2020年2月1日公開という上映タイミングが悪い

『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』の感想

最初に結論として書きますが、本作『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』は、上映時間が60分と短いこともあり、「映画(劇場版)っていうより、完全にOVAじゃない?」という作品に仕上がっています。

このため、映画好きの筆者から見ると「ゴブリンスレイヤーの世界観が面白いのは認めるけど、1400円以上払って劇場に足を運んで見る価値があったか」と問われると、「う~ん」というのが正直な気持ちです。

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映画館ではなく、ネット動画配信サービス(HuluやNetflix)で観れたら「お~、サクッと見れて面白いOVA作品だねー!」と素直に感じられたと思うのですが・・・
若干のネタバレがOKな方はクリックして開いて下さい

アニメ版から追っているとアガるシーンが多い

筆者はアニメ版12話だけ予習した状態で鑑賞しましたが、それでも思わず「お~!」とアガるシーンはタップリありました。

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主人公であるゴブリンスレイヤー登場シーンで詩人の歌がバックコーラスで流れていることや、ゴブリンスレイヤーが自身を「冒険者だ」と名乗る場面では「ゾワッ」と鳥肌が立つようなアニメ版からの地続き感に感動しました。

また、アニメ版のエンドロール後に「ゴブリンスレイヤーは帰ってくる」というメッセージが流れている通り、アニメ版スタッフは明らかに「マーベル・シネマティック・ユニバース」作品を意識していることは間違いありません。

本作の戦闘シーンでも『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の冒頭戦闘シーンの「キャプテンアメリカ&マイティ・ソーの連携攻撃」さながらの、キャラクター同士の「そうそう、アニメ版で結束されたチームならではの、こういう連携攻撃が観たかった!」という熱いバトルシーンもたっぷり用意されているので、ファンなら胸熱になるのは間違いありません。

ゴブリンスレイヤー

『ゴブリンスレイヤー』公式ホームページより

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ゴブリンスレイヤーの強すぎないヒーロー感と、特徴的な盾、何度打ちのめされても立ち上がってくるあたり「キャプテン・アメリカ」に重なる点が多いですよね

上映時間が60分の良いところ、悪いところ

本作『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』は上映時間が60分と、他映画と比べて圧倒的に上映時間が短い作品です。

このため、ギルドからの依頼内容のナレーションが入りながら、同時に戦闘が行われていく等テンポはよく、カット割りも大胆に行われています。

しかし、ネット動画配信サービスが全盛になっている昨今は、休日に海外ドラマの一気見や複数の映画を何本も観る方も増えてきており、「長尺の映像作品」が受け入れられる、また好まれる時代の流れが出来ていると筆者は感じています。

この時代の流れを大きくくみ取った映画が、3時間半という長尺ながら、巨匠と名優たちの圧倒的な力量が詰まったNetflix配信映画である「アイリッシュマン」だと思います。

本作『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』は60分という短い上映時間なので、「長尺映画」が受け入れられる映画好きからすると、すごく物足りなく感じてしまうんですよね。

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とはいえ、インスタグラムでも「#アイリッシュマン長すぎ」というハッシュタグがあるくらいなので、上映時間については賛否が大きく分かれるポイントだと思います。

公開タイミングの悪さ、残念ぶり

本作『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』に3点と厳しい採点をせざる得なくなってしまったのは、とにかく公開タイミングの悪さがあります。

まず、どうしても同時期に公開されている日本アニメ映画『メイドインアビス 深き魂の黎明』と比べられてしまうのですが、本作が作画のクオリティでは圧倒的に劣っている点は否定できません。

⇒記事『劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』評論!日本アニメらしい魅力がギュッと凝縮!』

劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』評論!日本アニメらしい魅力がギュッと凝縮!

また、『メイドインアビス 深き魂の黎明』は主要キャラが容赦なく死んでしまいそうな緊迫感が常にあり、まさに「命綱がないからこそ味わえるスリルと死生感」が存分に味わえる名作に仕上がっていると思います。

しかし、本作『ゴブリンスレイヤー GOBLIN’S CROWN』は、すでにパッケージとして完成された「ゴブリンスレイヤー」というコンテンツをいかに傷つけずに「現状維持」するかを下地として作られていることを視聴者側が感じてしまう作りになっているので、緊迫感がなく、安心しきって見れる作品になってしまっていると感じました。

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「ゴブリンスレイヤー」というコンテンツだからこそ語れるメッセージ性や、物語的な進展、バックストーリーの語り直しも無いので、「アニメ版の水戸黄門」を見ているような・・・そんな気分になりました。

また、公開日が2020年2月1日というタイミングであった点も、本作の魅力を大きく損なっていると思います。

本作の中で、年明けを祝うシーンが用意されてますが、正直2月に入るともう年明け気分も完全に抜けきっていて、「ハッピーニューイヤー!」とキャラクター達と素直に祝杯を上げれない自分がいました。

制作期間や広報期間など、色々な大人の事情によって、2月1日という公開日になってしまったのは百も承知ですが、「これが1月初旬に公開されていれば、生で映画館で見るからこそのライブ感が味わえたのに、勿体ね~・・・」と感じました。

筆者は、60分という短い上映時間がどうしても、OVA作品と感じてしまい「映画」としては受け入れられません。

「ゴブリンスレイヤー」が大好きなファン、もしくは特定の声優ファンならば、映画館で一足早く見る価値はあるけど、映画好きや一般大衆に受け入れられる作品には仕上がってないな~と思います。

 

やっぱり、コンテンツとして人気だから「稼がせて貰いまっせ!」というスケベ根性って、作り手側が思っている以上に視聴者に見透かされてしまうんですよ。

劇場版を作るならば、原作者の「蝸牛くも」さんと殴り合う勢いで、コンテンツとして終わらせるくらいの覚悟を持って臨んで欲しいというのが、映画ファンからの意見です。

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「面白くない」とは言いませんが、映画好きという立場から見ると、10点満点中3点と厳しい評価をせざる得ない作品でした。